2023年2月22日村上知成博士セミナー

東京大学医学系研究科統合生理学教室の村上知成博士をお招きしてセミナーを開催いたします。村上博士は医学部生命科学科の卒業生(2期生)です。大脳皮質の高次領野が発達過程で形成される仕組みについて、最近の知見をお話いただきます。講演は日本語で行いますので、学部生の方もどうぞ。

演者: 村上 知成 博士
所属: 東京大学 医学系研究科 統合生理学研究室
日時: 2023年2月22日(水)17:00-18:00
場所: 医学部基礎研究A棟1階 第2講義室(生協向かい)

 

ハイブリッド開催としますので、Zoomでの視聴を希望される方は前日までにこちらから登録をお願いします。
https://forms.gle/y4x1uwA3sawuneqE9

 

タイトル:
階層的かつ並列的な視覚神経回路はどのように作られるのか?
~視床核ー皮質投射のテンプレート的役割~

 

要旨:
脳領野が階層的に結合して構成される神経ネットワーク構造は、脳全体でみられる共通構造です。そして視覚系においては異なる視覚情報特徴を個別に処理する並列経路を持っています。脳は発達期においてこの複雑な構造を大きな個体差もなく安定して形成することができ、この形成メカニズムを完全に理解することは神経科学分野の大きな目標の一つです。長年の研究から末梢から一次皮質野までの低次経路については遺伝子メカニズムを含む形成機序が明らかとなってきました。そして近年、私の研究により高次視覚野まで含む回路全体について解剖学的な形成過程が明らかとなり、高次視床核が新たなキープレーヤーとして注目されつつあります。本セミナーではマウス視覚系において、早期形成される高次視床核から高次視覚野への投射に焦点を当てながら経路形成過程について議論します。そして発達初期に形成される経路を伝播する網膜由来の自発活動が経路形成にどのように関与するか、さらに開眼後の視覚経路の機能発達においても視床核ー皮質経路が重要な役割を果たす可能性について未発表のデータを交えて議論します。

 

References:
Murakami et al., Nature 608: 578-585 (2022)
Murakami et al., J Neurosci 37: 9424-9437 (2017)
Murakami et al., Front Mol Neurosci 8: 20 (2015)

 

なお、講演・質疑の後、生命科学科の現役学生や大学院のOB/OGを交えて座談会を予定しています(18:00-19:00)。

 

Student-organized seminar, ホスト代表: 武島光里
世話人: 医学研究院・疾患情報研究分野 今井 猛
#第18回疾患情報研究分野主催(第22回今井研主催)公開セミナー