研究内容

研究内容を10分間でざっくり知るには、研究室紹介の動画(YouTube)をご覧ください。

我々の脳は約1000億もの神経細胞が複雑なネットワーク(回路)を形成することで成り立っており、おそらくもっとも複雑な臓器です。脳の本質を理解することは、21世紀の生命科学における最も大きなチャレンジの一つであると言って良いでしょう。これは単に生物学として重要な課題であるというだけでなく、多くの精神疾患の理解や克服につながる可能性があるほか、人工知能の研究などと相まって社会のありようをも変革していく可能性を秘めています。また、神経科学は、人類が問うてきた自身の存在の源を理解するプロセスであるとも言えます。

しかし、どのようなアプローチをとったら、我々の脳を理解することができるのでしょうか?様々なアプローチがあり得ると思いますが、当研究室では、神経回路の発達メカニズムの研究を通して、脳機能の起源に迫りたいと考えています。とはいえ、個々の神経細胞の形態形成の研究をいくら突き詰めても脳機能の起源にはなかなかたどり着けません。実際、脳を理解する上で最も困難なのは、我々の脳機能の多くが神経回路のネットワークの動態という形で表出しており、個々の素子(神経細胞)の足し算では理解できない、と言う点にあります。そこで、当研究室では以下に述べる3段階のアプローチで脳機能の起源に迫ろうと考えています。

まずは、脳機能が神経回路レベルでどのように演算され、表出するのか(動作原理)を理解したいと考えています。このため、当研究室では2光子励起顕微鏡によるin vivoカルシウムイメージング法を用いています。この方法を用いると、生きた動物の脳深部から、同時に多数の神経細胞の活動を捉えることができます。システム神経科学のアプローチを用いて、情報処理のプロセスを理解します。

次に、こうした回路機能がどのような回路構造基盤によって生み出されるのかを理解したいと考えています。従来、神経回路の全体像を捉えることは困難でしたが、近年、我々が独自に開発した透明化などの新しい手法によってそれが可能になりつつあります。世界的にも回路構造の全体像を理解しようという機運は高まっており、コネクトミクス(回路接続の総体=コネクトームを解析する学問)と呼ばれています。

最後に、回路構造が発達過程でどのようなロジックで作られるのか(形成原理)を理解したいと考えています。神経回路は多くの場合、遺伝的にプログラムされたアルゴリズムだけではなく、相互作用する別の神経細胞からの情報や、神経活動(感覚入力や自発神経活動)に基づいて作られます。このため、遺伝学的なアプローチだけではなく、機能イメージングやモデリングのアプローチも組み合わせて研究を行っています。

現在のところ、モデルとしてはマウスの嗅覚系(特に嗅球)大脳皮質(体性感覚野)を主に用いています。嗅球は、異なる嗅覚受容体を発現する1,000種類もの嗅神経細胞が入力する領域でありながら、回路構造が比較的明快で、またin vivoイメージング等の手法が使いやすいといった利点があります。

嗅覚系における匂い情報処理を支えるメカニズムとしては、3つの重要なルールがあります。第一は“one OSN – one receptor rule”です。個々の嗅神経細胞(OSN)には1種類の嗅覚受容体(OR)のみが発現しており、これが匂い識別の基盤となっています。そのメカニズムは坂野研究室やLomvardas研究室によって明らかにされました。第二のルールとして、“one glomerulus – one receptor rule”があります。同種のORを発現する嗅神経細胞は、嗅球の同一の糸球体(glomerulus)へと軸索を収斂させるというルールです。今井は坂野研時代にこのメカニズムの解明に貢献してきました。第三のルールが“one mitral cell – one glomerulus rule”です。二次ニューロンである僧帽細胞(mitral cell)は単一の糸球体からのみ感覚情報を受け取ります。これによって、1000種類のORによって受容された匂いの情報が混線すること無く情報処理されます。このメカニズムについては我々の研究室で明らかにしてきました(Cell Reports 2021; Developmental Cell 2023)。

大脳皮質では、特に思春期に特有な回路再編メカニズムと精神疾患の関連に興味をもって研究しています。

将来的には、動作原理・回路構造基盤・形成原理の理解を統合することで、コネクトームから記憶を読み出すことや、生物の脳を越えるような人工(合成)神経回路を創出することにも取り組みたいと考えています。

嗅球の説明は脳科学辞典・嗅球の頁(今井執筆)をご覧ください。嗅覚系の入門書としては森憲作先生が書かれた新書もおすすめです。また、嗅球がどのような回路機能を担っていて、回路形成に関してどのようなquestionがあるのかについては、こちらの英文総説をご覧ください。

大脳皮質は、胎児期・幼児期のみならず、思春期にかけて発達が続くことが特徴的です。現在、思春期の大脳皮質におけるシナプス分布の研究にも取り組んでいるほか(主に体性感覚野)、高等ほ乳類の回路発達や精神疾患の研究にも取り組んでいます。

研究室では特に、2光子励起顕微鏡や超解像顕微鏡といった光学顕微鏡技術を駆使して、神経細胞の活動や形態の計測を行っています。また、分野の発展に寄与する技術開発も独自に取り組んでいます。研究テーマは本人の意向を最優先しています。研究内容に興味のある方は、まずは今井までコンタクトして相談してください。

以下、現在進行中+最近の研究紹介です。

 

1) 回路機能:感覚情報処理の原理(主に嗅覚)

感覚器には感覚情報以外にも雑多なノイズも一緒に入力しておりそれらの中から必要な感覚情報のみを抽出するのは簡単ではありません。また、感覚情報が移ろいゆく中、同じ情報と異なる情報を区別するというのも容易ではありません。我々の研究室では末梢(嗅上皮)~一次中枢の嗅球に着目して、「生体内」における嗅覚情報処理のしくみを研究しています。

我々は、世界で初めて、嗅覚系の末梢器官である嗅上皮における匂い応答をin vivo計測する系を確立しました。嗅覚研究では、しばしば単物質に対する応答が研究されてきましたが、自然界の匂いは、多くの場合多数の匂い分子の混合物です。そこで、混合臭に対する応答をin vivo計測したところ、しばしばその応答は単物質の応答の足し算よりも小さくなったり(拮抗作用)、大きくなったり(相乗効果)することが判明しました(Cell Reports 2020、プレスリリース)。特に、相乗効果については嗅覚受容体のアロステリック効果によるものであると考えており、そのメカニズム解明を目指しています。

嗅球では、従来、糸球体の空間的な活動マップ(糸球体マップ)が匂い識別の基盤になっているという説が信じられてきましたが、近年、時間的な活動パターンの重要性が着目されています。最近、我々は嗅球僧帽細胞の2光子カルシウムイメージングを行い、僧帽細胞では神経活動の時間パターンが匂い情報をコードしていること、これがconcentration invariantであること、神経活動の“振動”現象がその基盤となっていることを明らかにしました(Neuron 2017)。匂い情報が振動位相にコードされることから、位相コーディングと呼んでいます。日本語の総説はこちら。現在は、どうしてこんな情報処理が可能なのかを細胞レベル、回路レベルで理解したいと考えています。似たような現象は海馬の場所細胞等でも知られていますが、回路基盤は全く分かっていません。次に述べるコネクトミクスのアプローチを組み合わせ、数理シミュレーションによって位相コーディングの動作原理・回路基盤解明を目指しています。

最近は、嗅覚系以外での化学受容(迷走神経や三叉神経)のメカニズム解明を目指したin vivoカルシウムイメージングにも取り組んでいます。

2) 回路構造:光学顕微鏡を用いたコネクトミクス

1)で述べたように、現在多くの神経細胞から同時に神経活動を記録することが可能になっていますが、どのようにしてそのような演算が可能なのかを理解するには、回路構造の理解が必須です。そこで、我々は回路の全体像を捉えるための新しい技術の開発に取り組んでいます。

我々は、厚みのある脳組織の構造を維持しつつ、回路の全体像を捉えるべく、2013年に組織透明化法SeeDBを開発しました(Nature Neuroscience 2013)。この方法を用いると、2光子励起顕微鏡と組み合わせることで数mmの深さまで回路を捉えることが可能になりました。さらに、1個1個のシナプスまで高解像度で捉えるための透明化試薬SeeDB2も開発しました(Cell Reports 2016)。SeeDB2と超解像顕微鏡を用いると、電子顕微鏡よりも短時間でシナプス分布の解析を行うことができます。これらの透明化技術の詳細はSeeDB Resourcesに公開しています。現在は、神経細胞の多色標識法(Sakaguchi et al., 2017)を更に拡張した「超多色標識法」を開発し、顕微鏡画像から回路構造を自動再構築するための新しいツールを開発しています(bioRxiv 2022; 未発表)。また、シナプスレベルのコネクトミクス解析パイプラインの構築にも取り組んでいます(AMEDプロジェクト)。とりわけ、機械学習の活用は重要な課題です。これによって光学顕微鏡を用いたコネクトーム解析の効率が劇的に向上し、複雑な神経回路構造の研究が大きく進展するものと期待されます。

現在、こうしたコネクトミクスのアプローチによって嗅球の研究に取り組んでいるほか、大脳皮質錐体細胞において、シナプス分布に関する興味深い知見も得られつつあります(現在論文投稿中)。特に、統合失調症のモデルマウスを用いて、疾患と関連したシナプス形成異常を見出しています。大脳皮質において機能的に同定された神経細胞のコネクトームの解析にも着手しています。今後は、シナプス形成に異常があると言われている様々な精神疾患のモデルを用いて、病態解明に活用していきたいと考えています。

 

3) 回路形成:回路機能の起源に迫る

1000種類ある嗅神経細胞が、発現する嗅覚受容体の種類に応じて正しい糸球体へと投射する仕組みについては、我々が10年かけて明らかにしてきました(Science 2006; Science 2009; Cell 2013)。一方で、嗅球内の回路がどのようにつくられるのかは依然としてよく分かっていませんでした。

嗅球において、僧帽・房飾細胞は単一の糸球から単一の主樹状突起を介して興奮性入力を受け取るとともに、 周囲の複数の糸球カラムから側方樹状突起を介して主に抑制性の入力を受け取ります。嗅球内には、短軸索細胞や顆粒細胞といった多様な抑制性ニューロンが存在し、僧帽・房飾細胞の活動のチューニングを行います。僧帽・房飾細胞はまた、嗅球内、嗅皮質の 特定の領域に軸索投射を行います。こうした神経接続の特異性が生後発達過程で確立されるプロセスの解明を目指しています。こちらの英文総説をご覧ください。


我々が特に重要だと考えているのは、”one mitral cell – one glomerulus rule”です。僧帽細胞は、生後直後には多数の樹状突起があり、複数の糸球体から匂い情報を受け取っていますが、やがてそれらは刈り込まれ、最終的には単一の樹状突起を単一の糸球体にのみ接続するようになります。このように、樹状突起をリモデリングすることで、受け取る感覚情報(受容野)を精緻にしていく現象は、視覚野や体性感覚野など、多くの脳領域で観察されていますが、その仕組みは十分に分かっていませんでした。最近、我々は、シナプス入力に依存した「側方抑制」が受容野形成に寄与していることを見出しました(Developmental Cell 2023)。現在、その詳細な分子機構の解明を目指して研究しています。

 

4) 嗅覚系の回路形成と疾患

嗅神経細胞は生涯に亘ってターンオーバーし、軸索を再生しています。胎児期に出来上がった嗅覚地図に再生軸索が厳密に接続 することは、匂い情報を生涯に亘って維持する上で極めて重要です。実際、頭部への物理的ダメージ等で嗅神経細胞軸索がひとたび切断されてしまうと、その後 再生軸索が正しく嗅球に接続せず、匂いが正しく嗅げなくなってしまいます(異臭症)。匂いは生存に必須な感覚情報ではないとはいえ、不快な匂いによっておいしくご飯が食べられなくなるなど、QOLへの影響は甚大です。しかも、異臭症は予後が悪く、現在のところ治療の手段はありません。 我々はマウスを用いて嗅神経細胞軸索切断による異臭症モデルを作成し、その病態の解析を行いました。我々がこれまでに行ってきた嗅神経細胞軸索投射の知識を用いて、その原因について明らかにしました。本研究は岡山大学耳鼻科との共同研究として行いました。
Murai et al., eNeuro (2016)
新聞記事はこちら

 

5) 精神疾患の理解へ向けて


現在、統合失調症、自閉症、アルツハイマー病など、多くの神経疾患はシナプスの形成や動態に異常があるといわれています。しかしながら、シナプス異常の全体像と神経回路の関連についてはまだよく分かっていません。そもそも、発達期にシナプス分布がどのように変化し、精神疾患ではどこがどのようにおかしくなるのかも十分理解されていません。現在我々は独自の透明化技術を用いて大規模シナプスマッピングを行い、発達期や病態におけるシナプス異常の解析に取り組んでいます。最近、思春期の大脳皮質でスパイン分布がダイナミックに変化することを見いだしており、思春期のシナプス形成と統合失調症の関係について、遺伝子、形態(透明化イメージング)、機能(2光子カルシウムイメージング)の面から研究を進めています。

また、アルツハイマー病やパーキンソン病といった多くの精神疾患では、発症に先立って嗅覚異常が生じることが知られています。妊娠期の嗅覚過敏や統合失調症における嗅覚の幻覚も面白い問題です。我々はさまざまなライフイベントや精神疾患と嗅覚の関係についても興味を持っています。

 

6) 腸-脳コネクトミクスプロジェクト

現在、JST CRESTプロジェクトとして、腸脳コネクトミクスの研究に取り組んでいます。腸管上皮に存在する腸内分泌細胞(EEC)は様々な化学受容を行い、消化管ホルモンを分泌することが知られています。近年、これに加えて、EECは求心性迷走神経に神経接続し、その情報を直接脳に伝えることが明らかになってきました。しかしながら、嗅覚系や味覚系と異なり、腸管における化学受容のロジックや脳における処理機構はほとんど明らかになっていません。これまであまり着目されてこなかった腸管における化学感覚・臓器感覚の仕組みの解明に取り組みます。

 

7) コネクトームから記憶を読み出すことはできるか?

我々の脳には、それまでの人生のあらゆる経験が記憶として書き込まれています。また、記憶は、シナプス結合の変化として保持されていると考えられています。では、シナプス結合の全体像を捉えることができれば、記憶を読み出すことはできるでしょうか?我々は、コネクトーム解析のための様々な手法の開発に取り組んでいますが、究極的には、コネクトームを読み取ることでそこに書き込まれた記憶を読み出し、コンピュータに移植できると考えています。この壮大な目標に向けた研究に取り組んでいます。ヒトやマウスの全脳のコネクトームを読み出すのは現時点では不可能なので、培養神経細胞の神経回路から記憶を読み出すことを最初の目標としています。詳しくはこちら。

たまごっち計画(Neuro2022ランチョン大討論会)

 

8) 研究室の研究施設・実験機器・実験手法の紹介

分子生物学・生化学・分光実験: 一通りの分子生物学や生化学実験が可能です。蛍光・発光タンパク質ツールの開発も行うため、そのための吸光・蛍光分光機器も揃っています。

細胞培養: 一般的な細胞培養や、ウイルスベクター(AAVなど)の作製もラボ内で一通り全て行えます。プレートリーダーを使って、培養細胞を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイも行えます。

組織化学実験: 凍結切片(クライオスタット)、ビブラトーム切片の作製と、抗体染色、in situ hybridizationなどは一通り行うことができます。

透明化: 脳透明化技術はうちの研究室で独自に開発してきたこともあり、ノウハウは随一と言えます。特にシナプスレベルの解析は世界でどこにも負けないでしょう。いくつかは特許を取得して商品しています。リソースサイトはこちら

共焦点顕微鏡・超解像顕微鏡: Leicaの共焦点顕微鏡と超解像イメージングユニット(Lightningシステム、x-y分解能120nm, z分解能200nm)を保有しています。独自に開発した透明化法と組み合わせることでシナプスレベルの定量解析やコネクトーム解析が可能です。取得した蛍光画像は、Neurolucida(神経トレーシングソフト)やMatlabを使って解析します。この解析ノウハウも世界でも随一といえます。7重蛍光イメージングをやっているのも世界でうちくらいでしょう。

ライトシート顕微鏡: ミルテニー社のライトシート顕微鏡(Ultramicroscope Blaze)が導入されました(九大共通機器として管理)。これによって、マウス全脳の蛍光画像をわずか数時間で取得することができます。全脳画像の自動解析パイプラインも構築しています。

動物飼育: 当研究室ではもっぱらマウスを使って研究を行っています。研究室内に独自の動物飼育施設を持っています。イノラックと呼ばれる個別換気システムを用いて、微生物学的に清浄な環境でマウスを管理するとともに、ラボ内の2光子顕微鏡を用いたin vivo imagingやウイルス実験(P1A, P2A)を効率よく行える体制になっています。

ウイルス実験: 主にAAV(P1)を使っていますが、P2のウイルス実験も可能です。脳にインジェクションするための装置やノウハウは一通り揃っています。生後の脳機能を調べる場合にはAAVを使うことが多いです。AAVはDNAから自在に自作できるので比較的早く結果が得られます。

子宮内電気穿孔法(in utero electroporation): 従来は遺伝子機能の解析にはトランスジェニックマウスやノックアウトマウスを使うことが多かったのですが、現在はAAVの他、in utero electroporationで行うことが多いです。マウス胎仔の脳室にプラスミドDNAを注入して電気刺激を行うことで効率よく遺伝子導入できるため、短期間のうちに遺伝子機能解析が可能です。CRISPR/Cas9を用いた遺伝子ノックアウトスクリーニングも確立できており、胎児期~生後初期の遺伝子レベルの解析は非常に効率よく行えます。

2光子蛍光イメージング: 2光子励起顕微鏡を2台保有しています。オリンパスマシンは2波長励起可能なInSight Dualレーザーを搭載しています。新しく導入したThorlabsマシンは920nmの波長固定レーザーを搭載しており、GCaMPイメージング専用です。2光子励起顕微鏡を用いると、生きた動物の深部の蛍光シグナルを得ることができます。覚醒下、麻酔下のin vivoカルシウムイメージング(GCaMPなど)は、成体だけでなく、新生仔のマウスでも行うためのノウハウを持っています。更に、脳スライスを使って、カルシウムイメージング、FRETイメージング、アンケージングなどを行っています。取得した画像データは、Matlabを使って解析します。

脳スライス生理学・薬理学: 急性脳スライスを用いた2光子イメージング(カルシウム、FRET)、薬理学実験を行っています。

画像解析: MatlabやPythonの自作プログラムで解析する人が多いです。画像解析用に大容量の画像を扱えるワークステーションを使っています。そのほか、3D画像の解析にはImaris、神経回路トレーシングにはNeurolucida/Neurolucida360などを使っています。深層学習を用いた顕微鏡画像の自動解析を行っている人もいます。

嗅覚実験: 嗅覚系のイメージング実験では匂い刺激装置を各自自作(電子工作)して使っています。

行動実験: 嗅覚行動のアッセイや、精神疾患モデルの解析を行います。DeepLabCutを使ったトラッキングを行ったり、専用の解析装置を使って解析します。光遺伝学は自作した刺激装置で実験します。

 

9) 過去の研究成果のプレスリリース・ニュース記事

・発達期における神経突起の刈り込みを制御するシナプス競合の基本原理を解明
~雑多な入力を遮断し、精緻な回路をつくるための仕組みを解明~
[九大 2023/6/8][Neuroscience News](Developmental Cell 2023)

・発達期に特定の樹状突起が選択的に強化される仕組みを解明
~分泌タンパク質BMPと神経伝達物質の共入力が鍵~
[九大 2021/6/23](Cell Reports 2021)

・匂いのハーモニーが生み出される仕組みを解明
鼻の中で生じる抑制性応答、拮抗作用、相乗効果を生きた動物で実証
[九大 2020/7/1](Cell Reports 2020)

・神経細胞を明るくカラフルに染めることで神経回路研究を加速
[九大 2018/11/20](eLife 2018)

・発火タイミングに基づく匂い識別の仕組みを解明
-匂いの濃度が変わっても感じる匂いが変わらないのはなぜか?-
[理研 2017/12/7] [CDBニュース](Neuron 2017)

・損傷後の誤った軸索配線が嗅覚異常を引き起こす
[CDBニュース 2016/10/26] (eNeuro 2016)

・シナプスの微細構造まで鮮明に
-高屈折率の改良型透明化液で深部超解像イメージングを実現-
[理研 2016/3/11] [CDBニュース] (Cell Reports 2016)

・簡便で生体試料にやさしい組織透明化試薬「SeeDB」を開発
[理研 2013/6/24] [CDBニュース] [サイエンスチャンネル(YouTube)] (Nat Neurosci. 2013)

・高等動物の認知機能の基盤である「神経地図」が作られるメカニズムの解明
[東大 2009/7/10]
 (Science 2009)

・哺乳類嗅覚系で嗅覚受容体が軸索投射を制御する機構の解明
[東大 2006/10/12]
 (Science 2006)

 

10) YouTube動画

研究室紹介2020年5月(九大オンライン大学院説明会)

市民公開講座「脳科学の達人2018」

研究室紹介2015年4月(京大)

・透明化SeeDB: [YouTube(1)] [YouTube(2)] [YouTube(3)] [サイエンスチャンネル(YouTube)]

・透明化超解像イメージングSeeDB2: [YouTube(1)] [YouTube(2)][YouTube(3)]

・ニューロン多色標識Tetbow: [YouTube (1)] [YouTube (2)] [YouTube (3)] [YouTube (4)]

・嗅球2光子イメージング(Neuron 2017): [YouTube (1)] [YouTube (2)]