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第39回生命医科学セミナー(Biomedical Science Seminar)

演 題:PD-1とがん、そして自己と非自己の識別
演 者:  石田 靖雅 博士
奈良先端科学技術大学院大学
バイオサイエンス研究科

日 時:平成29年4月14日(金)
17:00 ~ 18:00
場 所:病院地区総合研究棟2階 205セミナー室

今から25年前、私は免疫学における自己−非自己識別の秘密を解き明かすために、あるスクリーニング実験を行った。当時私は、「自己に対する反応性を獲得した危険なTリンパ球がアポトーシスによって死滅する際に働く遺伝子」を同定すれば、自己−非自己識別の謎に迫ることができるに違いないと考えたため、新たに発見された遺伝子がそのようなものであって欲しいという願いをこめて、programmed death-1 (PD-1) と命名した。その後の研究により、PD-1はT細胞にアポトーシスを引き起こす分子ではなく、抗原によるT細胞の活性化を負に制御する分子であることが明らかになった。しかし興味深いことに、最近の一連の研究からは、抗体によってPD-1やそのリガンド分子の働きを阻害し、T細胞を抑制状態から解放するだけで、一部の癌細胞に対する免疫応答が著しく増強されることが示され、PD-1は「細胞死の誘導」とは全く異なる分子メカニズムによって、免疫学的な自己と非自己の識別に深く関与することが明らかになってきた。今回のセミナーでは、PD-1の生理機能に関する新しい仮説を提示し、癌の免疫療法としてPD-1の機能阻害が有効である理由を考察したい。

この度、共同研究の打ち合わせで来福されます。興味のある方の参加を歓迎致します。

問合せ:九州大学大学院 医学研究院 基礎放射線医学分野 中津可道(内線6142)

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