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續 輝久

九州大学研究者情報

研究のキーワード

標的遺伝子組換え 、DNA修復 、突然変異 、発癌 、活性酸素 、DNA傷害/DNA損傷 、遺伝子操作マウス 、アルキル化剤 、相同DNA組換え 、ゲノム荷重

主な研究テーマ

1)標的遺伝子組換えの迅速・簡便法の開発(1996.04~)
2)遺伝情報維持の分子機構に関する研究(1992.09~)

現在並びに最近従事しているプロジェクト研究

1)遺伝子介入による腫瘍の放射線治療法開発の基礎的研究

代表者:續 輝久, 九州大学, DNA修復系に対する合成オリゴヌクレオチドを細胞内に導入することにより、放射線や抗癌剤併用の治療効果を増大させることを狙った基礎研究を展開(2001.04~2004.03)。

2)分子生物学的基盤に基づく低線量放射線影響に関する研究

代表者:巽 紘一, 放射線医学総合研究所, 低線量放射線の生体影響につき、分子生物学的な解析手法を駆使して、体系的に理解するための共同研究。(財)原子力安全研究協会助成金による共同研究(2000.04~2004.03)。

3)in vivoでの突然変異と発がんの関連に関する研究

代表者:能美健彦, 国立医薬品食品衛生研究所, マウスやラット等の動物の系を用いて、in vivoにおける突然変異とそれによって誘発される発がんとの関係を明らかにすることを目的とした共同研究。分担課題名:酸化的DNA損傷による突然変異の抑制機構の解析、厚生労働省がん研究助成金による共同研究(2000.04~2004.03)。

4)DNA修復遺伝子欠損マウスを用いた変異原性の検出・評価系の開発

代表者:續 輝久, 九州大学, DNA修復遺伝子欠損マウスを用いて、変異原性の検出・評価系の開発ための基礎的研究を推進(2000.04~2003.03)。「遺伝子欠損マウスを用いたゲノム情報維持の分子機構に基づく変異原性の評価系の開発(2004.04~2007.03)」、「DNA修復遺伝子欠損マウスを用いた変異原性・発がん性の高感度評価系の開発(2008.04~2011.03)」の課題名で研究を展開した。
また関連研究として、厚生労働科学研究費補助金の交付を受けて「食品の安心・安全確保推進研究事業」として「食品添加物等における遺伝毒性発がん物質の評価法に関する研究(研究代表:能美健彦, 国立医薬品食品衛生研究所)」(2009.04~2011.03)、「食品添加物等の遺伝毒性発がんリスク評価法に関する研究(研究代表:本間正充, 国立医薬品食品衛生研究所)」(2012.04~2015.03)の分担者として食品添加物の低用量域での変異原性・発がん性に関する研究を展開中。この間並行して、内閣府食品安産委員:食品健康影響評価技術研究として、「酸化ストレスを誘導する遺伝毒性物質の低用量における量反応関係の解析(研究代表:青木康展, 国立環境研究所)」(2012.04~2014.03)で食品添加物質である臭素酸カリウムを対象物質として、Mutyh遺伝子改変マウス系統を用いた突然変異・発がんを解析し、「閾値」形成の視点から生体防御の役割を明らかにするための共同研究を実施した。この研究は、上記の「in vivoでの突然変異と発がんの関連に関する研究」とも密接に関連する研究である。

5)酸化DNA傷害に対する防御機構の異常と発がん感受性

代表者:續 輝久, 九州大学大学院医学研究院, 酸化DNA傷害に対する防御機構として、Mth1, Ogg1, Mutyh, Msh2等のDNA損傷防止・修復系の酵素を欠損したマウスを樹立し、自然突然変異・自然発がんを中心に研究を展開してきている。世界に先駆けて、酸化DNA損傷の防止系が発がん抑制に極めて重要な働きをしていることを明らかにした(2000.04~2004.03)。この研究は、「酸化ストレス誘発発がんの抑制に関与する分子機構」の課題名で継続した(2004.04~2008.03、2008.04~2010.03)。更に研究を展開して、平成22年度からは、第3次対がん総合戦略研究事業として「疾患モデル動物を用いた環境発がんの初期過程の分子機構および感受性要因の解明とその臨床応用に関する研究(研究代表者:中釜斉,国立がんセンター研究所)」の分担課題として継続(平成23年度から研究代表者が筆宝義隆に交替)(2010.04~2014.03)。平成25年度からは、得られた研究成果を踏まえた新たな展開として、基盤研究Aの課題「ゲノム損傷応答系の不全による変異誘発と発がんに関する研究」の代表者として、DNA損傷系の欠損マウスを用いて、同一個体の小腸に比較的短期間で、酸化ストレスに起因する多数の上皮がんを誘導させる実験系により、発がん抑制に関わるゲノム損傷応答系や細胞死誘導因子の探索を行っている(2013.04~2017.03)。

6)放射線によるゲノム荷重回避の分子制御機構

代表者:續 輝久, 九州大学, 放射線によってもたらされるゲノム荷重に対するDNA修復系、DNA損傷度認識系の遺伝子操作マウスを用いて解析し、ゲノム荷重回避の分子機構の役割を明らかにすることを目的として研究を展開した。(財)日本宇宙フォーラムの研究助成(地上公募研究)を受けて行った(1999.04~2002.03)。

簡単な自己紹介

 4年間のアメリカ留学を終えて平成4年9月1日付で生体防御医学研究所生化学部門の助教授(関口睦夫教授)として赴任後は、標的遺伝子組換えの手法を駆使して、主として「遺伝情報維持の分子機構の解明」に従事した。この間アルキル化DNA損傷の修復に関与するMgmt遺伝子、相同組換え機構の重要な構成要因であるRad51遺伝子等につきタ一ゲティングに成功した。教育面では、医学系研究科の大学院生の講義である「分子腫瘍学」を担当するとともに、学位論文作成へ向けた研究の指導に携わった。平成7年4月以降は、医学部の非常勤講師として「医学生物学(分子生物学)」を分担し、平成7年度は鳥取大医学部、平成9年度は広島大学原爆放射能医学研究所の非常勤講師を担当した。

 平成10年2月に医学部放射線基礎医学教室担当教授として赴任してからは、「DNAの傷害とその修復の分子制御」をテーマに分子生物学的視点から、癌化や老化さらには酸化DNA損傷による次世代影響の問題等の研究に取り組んでいる。学部担当科目としては医学部2年生の科目である「放射線基礎医学」「遺伝学」並びに1年生の「医学生物学概論(平成25年度まで)」の世話教員を、また大学院生対象には、医科学専攻修士課程の「人体構造と機能IV」(平成15年度〜)、博士課程の「生物物理学研究法」「機能制御医学研究入門」をそれぞれ分担して世話教員として担当している/してきた。

 この他、平成12年度からは医療技術短期大学部(現、医学部保健学科)の専門教育科目「放射線生物学」を分担しており、平成13年度からは医系キャンパス他の教官/教員の協力を得て、全学共通教育科目として「放射線とは何だろうか?」を開講している。また、全学教育の伊都キャンパス移転に伴い新たに立ち上げられた全学教育科目の「生物科学II(平成25年度まで)」(前期)の世話教員を担当する他、平成23年度からは薬学部3年生の「放射性薬品化学」を分担している。平成26年度からは21世紀プログラム課程の主導教員として、課題提示科目I「遺伝子と疾患・生命倫理」を担当。この他学外では、平成10年度は岡山大学医学部、平成14年度は徳島大学大学院医学研究科の非常勤講師、平成15年度は佐賀医科大学医学部、平成18年度は放送大学の非常勤講師を担当した。平成20年度以降、長崎国際大学薬学部の非常勤講師(薬学入門)を担当しており、平成26年度からは北九州市立大学の非常勤講師(生命科学と社会)を担当している。

 学内の委員としては、アイソトープ総合センター病院地区学生実習室の運営委員(室長:平成12年4月~平成17年3月)、産学連携センター運営委員会委員、入学者選抜研究委員会委員などを歴任し、現在は全学の委員会として、放射線障害防止委員(平成26年3月まで)、アイソトープ総合センター運営委員、動物実験委員会委員を担当している。平成27年4月からは、医学研究院の遺伝子組換え生物実験安全主任者並びに全学の遺伝子組換え生物実験安全委員会副委員長、アイソトープ総合センター病院地区実験室並びに学生実習室の室長(平成27年4月~平成28年3月)を担当している。この他、平成15年度に改組・設置の医療系統合教育研究センターの教員を副担した他、各種教育関連の委員会の委員を担当し、平成17年12月から平成24年12月の期間、医学研究院附属動物実験施設長を兼任した。また、平成19年4月に設置された医学部生命科学科長を平成25年3月まで併任。

 国際学術共同研究としては、研究代表者として平成8年度~9年度の2年間カナダのカルガリー大学医学部のD. E. Rancourt博士らと「標的遺伝子組換えの迅速・簡便法の開発」を行い、この成果を展開するものとして平成10年度から3年間「酸化的DNA損傷とその修復機構」をテーマに研究を継続してきた(この研究については、平成11年度から「基盤研究(B)」と名称が変更されている)。この研究の展開の一環として、文部科学省研究留学生としてカルガリー大学医学部の大学院生K. Woltjenを受け入れた(平成13年10月~平成15年3月)。これらの共同研究活動を背景に、平成13年11月には九州大学大学院医学研究院/医学系学府/医学部とカルガリー大学医学部との間で、部局間交流協定が締結された。

 平成15年度から平成27年度にかけて毎年夏期期間中に九州大学医学部の学生を派遣する「短期留学プログラム」の支援役を担当した(年度報告書のとりまとめ)。平成23年10月から日本学術会議の連携会員に就任し、第22期環境リスク分科会幹事、放射線防護・リスクマネジメント分科会メンバーとしてそれぞれの分科会からの提言のとりまとめに従事する他、ICLAS分科会等に属して活動を行った。これらの活動は第23期にも継続している。平成25年度~平成28年度の4年間は、基盤研究(A)として研究課題「ゲノム損傷応答系の不全による変異誘発と発がんに関する研究」に、分野所属の中津可道准教授、大野みずき助教、福岡歯科大学の日高真純教授らと取組んでいる。平成25年5月に北京国際会議場で開催された第3回Asian Congress of Radiation Researchにおいて、AARR Award(Medicine)受賞講演「Prevention of Oxidative Tumorigenesis by DNA Repair Enzymes: Implication in Human Cancer」を行った。[*AARR:Asian Association for Radiation Research]

所属学会名

日本分子生物学会

日本生化学会(九州支部会評議員:平成16年~平成27年), 代議員:平成28年~平成29年)

日本癌学会(評議員:平成17年~平成28年)

日本放射線影響学会(幹事(兼任評議員):平成20年~平成21年, 幹事(兼任評議員):平成24年~平成25年, 評議員:平成25年~平成26年, 理事:平成27年4月〜平成28年3月)

日本環境変異原学会 (評議員:平成24年~平成29年)

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