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分野紹介

沿革

 放射線基礎医学講座としては、京都大学、大阪大学、東北大学に次ぐ4番目に、1964(昭和39)年2月25日に文部省令第3号により設置が認可されました。講座設立にあたっては、当時の放射線医学講座の入江英雄教授が「放射線医学の著しい進展により、研究と教育を分担して臨床放射線に協力する基礎部門が必要である」と強く認識して主張されたことが背景となっています。初代教授として吉永春馬先生が1964年5月16日に広島大学原爆放射能医学研究所より就任しました。第二代教授として安徳重敏先生[1980年9月1日~1997(平成9)年3月31日、九州大学名誉教授]が広島大学原爆放射能医学研究所障害基礎部門助教授より赴任。また、第三代教授の續輝久は1998年2月1日付で九州大学生体防御医学研究所生化学部門助教授より赴任し現在に至っています。2000年4月の大学院重点化に伴い九州大学大学院・医学研究院・機能制御医学部門・医学生物物理学講座・基礎放射線医学分野と改組され、その後の組織の大幅な再編成により、2003年4月からは基礎医学部門・生体制御学講座・基礎放射線医学分野となっています。

歴代の研究の概略

 放射線基礎医学の研究分野としては、放射線物理学、放射線及びその他の物理的・化学的刺激の生物作用、放射線疫学等が考えられます。吉永教授の時代に取り組まれた主な研究テーマは、①小動物を材料とした組織・個体レベルでの放射線障害、②培養哺乳動物細胞を用いた放射線の細胞障害発現機構の解明、③医療被曝の調査、④重粒子治療の基礎的検討、の4つです。安徳教授の時代には、放射線増感剤の研究を進める一方、癌の温熱治療の基礎研究として、培養細胞系で温熱(ハイパーサーミア)の作用機構の解明に取り組みました。また、細胞分裂系図法によりX線と温熱による細胞作用機構の違いを明らかにしました。在任期間の1994(平成6)年には、日本放射線影響学会第37回大会を主催しています。1998年2月に續教授が赴任したのを契機に「DNA損傷とその防止・修復の分子制御機構の解明」を主要テーマに設定し、放射線によるゲノムDNA損傷を対象に含めた分子生物学的研究を進めています。遺伝情報維持の分子機構に関与する各種遺伝子の欠損マウスを樹立し、それらを用いて酸化ストレスによるDNA損傷に起因する突然変異や発がんの分子機構を明らかにすることを目指しています(→最近の研究の詳細は研究の内容のページをご覧ください)。

「九州大学医学部百年史」(平成16年3月1日発行)より抜粋

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