第２２回　生命医科学セミナー（Biomedical Science Seminar）

演題：酸化ヌクレオチドによる変異誘発

演者：紙谷浩之博士

所属：北海道大学大学院薬学研究院 薬剤分子設計学研究室 准教授

日時：平成１９年７月２６日（木）　１７：００～１８：００

場所：病院地区総合研究棟、１階１０４セミナー室

［セミナー内容の紹介］

　活性酸素は酸素呼吸に伴い内在的に絶えず発生するとともに、放射線やある種の環境変異原等の外因によっても生じている。活性酸素は核酸等の生体高分子を酸化するが、これが癌・神経変性等の老化に伴う様々な疾患の原因となると考えられている。本講演では、DNA合成前駆体（デオキシリボヌクレオチド）の酸化体に着目し、酸化的ヌクレオチド損傷によって誘発される突然変異ならびにそれらの特異的分解酵素（ヌクレオチドプール浄化酵素）、DNAポリメラーゼや関連のDNA修復酵素との関わりについて述べる。さらに、RNA合成前駆体（リボヌクレオチド）の酸化体についても触れる予定である。

［参考文献］

紙谷浩之： 放射線生物研究 41, 355-364 (2006)

K. Satou, K. Kawai, H. Kasai, H. Harashima, and H. Kamiya: Free Rad. Biol. Med. 42, 1552-1560 (2007)

K. Satou, H. Kasai, C. Masutani, F. Hanaoka, H. Harashima, and H. Kamiya: Biochemistry 46, 6639-6646 (2007)

（共催：福岡医学会）