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セミナー情報

2014.2.7 14:00- 理化学研究所立川正志先生セミナー「膜系オルガネラ形態形成の物理モデリング」 

日時:2014年2月7日(金)14:00-15:00
場所: 九州大学病院キャンパス 基礎研究A棟二階セミナー室 
演者:理化学研究所 望月理論生物学研究室 立川正志先生

 真核細胞にはさまざまな形態をした生体膜からなる膜系オルガネラがあり,それぞれの形態と深くリンクした細胞機能を担っている.オルガネラの形態は電子顕微鏡等により観測・理解が進められているが,その小ささ故,その動態の直接観測は困難である.一方,オルガネラサイズの物体の運動・変形においては熱ゆらぎが支配的となり,その形態形成に自己組織的メカニズムが働いていることが期待される.そこでこの性質に注目して,我々は物理に基づいたオルガネラ動態の理解を目指し,理論生物学の立場から研究を進めている.
 研究を進める上で,まず我々は生体膜の計算機シミュレーターを作成した.膜形態が蓄えるエネルギーは弾性膜の理論から計算される.このエネルギーをもとにモンテカルロ法を用いて膜形態の変化を記述した.このシミュレーターを用いて,現在,ゴルジ体再集合過程を含む様々なオルガネラ形態の理解に取り組んでいる.ゴルジ体は扁平な袋状の生体膜が層状構造をなし,整然と複雑かつ組織化された形態を示している.再集合過程は細胞分裂後の各娘細胞で小胞が集合してゴルジ体を形成する現象で,この過程はin vitroで再構成されている.このことは,ゴルジ体の形態が膜とその表面で起こる反応のみに依存して自己組織的に作り出されることを強く示唆しており,膜系オルガネラの形態の物理を考える上で良い題材となっている.膜シミュレーターを用いた計算を繰り返すことにより,我々はゴルジ体の形成・安定化に必要なゴルジ体構成膜の物理パラメータのとりうる範囲を求めた.また,膜融合過程を制御することが,再集合過程においてゴルジ体の形態を生成させるために重要であるという示唆を得た.
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