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教授挨拶 

2013年2月1日に系統解剖学分野に着任した三浦と申します。学部教育は肉眼解剖学および組織学を担当しています。

医学生の方は肉眼解剖実習、組織学実習で実感することと思いますが、ひとの体はとても不思議な形をしています。器官や組織のかたちがきちんとできていないと人の体は機能しません。このかたちがどのように出来上がるのか、その過程(形態形成)を考えるのが発生生物学という学問です。生物の形の出来上がる過程は大変神秘的でかつ理解が難しく、古くからいろいろな分野の研究者を引きつけてきました。 

私たちはこれまで、数理という眼鏡を通してこの形態形成現象、とくに何も無い所から形が生じる現象(自発的パターン形成)を理解するという独自のやり方で仕事をしてきました。生物学は、他の科学の諸分野と比べて、基礎方程式が確立されていません。とくに生物の形づくりの分野は、形そのものが複雑で、その定義すら数学の立場からははっきりしない事が多く、式を立てて考えるという発想がほとんどありません。我々は、応用数学のパターン形成の分野で用いられている反応拡散系という道具を使って、生物の形の出来上がる仕組みの原理を解明してきました。今後はこれを発展させて、数理による予測を用いて周囲の条件をうまく整えてやることで、細胞群に自発的に組織構造を作らせるやり方を開発していきたいと考えています。 

数理という眼鏡で生命現象を観て、その原理を理解する研究は現在急速に進行しています.トップダウン的にはCREST、 さきがけ、新学術領域等の多くの大型予算が立ち上がっています。ボトムアップ的には定量生物学の会、細胞を創る会などの若手研究者のネットワークが自然発生的にできあがってきています。その結果、研究員レベルの求人が急速に増えており、人材の供給が需要に追いついていない状態です。この生物学の新しい流れを自分で作り上げてみたい、という、意欲的な若者の参加を歓迎します。

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