第26回応用幹細胞医科学部門セミナー【7/12】開催のお知らせ

この度下記の日程で、昆俊亮先生(東京理科大学・生命医科学研究所・がん生物学部門・講師)をお迎えして第26回応用幹細胞医科学部門セミナー(オンライン)を開催いたします。

昆俊亮博士は細胞競合の概念のもと、上皮組織内に形成されたがん細胞の代謝変化とその排除システムについて、細胞生物学的およびモデルマウスを用いた手法で精力的に研究をされています。細胞競合は発生・恒常性維持・疾患など様々な現象に関わることが示唆されており、今回のセミナーが皆様のご研究の一助となれば幸いです。

【第26回応用幹細胞医科学部門セミナー/新学術領域研究「配偶子インテグリティ」共催】
日時:2021年7月12日(月)16:00-17:00
・web会議システムzoomを使用したオンライン開催

演者:昆俊亮先生(東京理科大学・生命医科学研究所・がん生物学部門・講師) 
演題:細胞競合と発がん
要旨:上皮細胞層にがん変異細胞が少数産生したとき、「細胞競合」と呼ばれる正常上皮細胞と変異細胞が互いに生存を争う現象が生じ、その結果変異細胞が排除されることが近年明らかとなってきた。我々はこれまでに、細胞競合下のがん変異細胞ではワールブルグ効果様の代謝変化が生じること、さらには腸管上皮細胞に活性化Ras変異をモザイク誘導するマウスを作出し、同様の代謝偏諱がRas変異細胞の排除に必要であることを明らかにしてきた(Kon et al., Nat. Cell Biol., 2017など)。この細胞競合マウスモデルの解析を深化させ、ヒト家族性大腸がんで好発するAPC→Rasの変異蓄積の負荷による細胞競合の排除効率への影響を検討したところ、APC欠損下でRas変異をモザイク誘導した細胞では細胞非自律的にNF-κBシグナルが活性化し、MMP21の発現が著増することにより基底膜へとびまん性に浸潤することが分かった。この結果より、Wntシグナルの活性化は細胞競合の機能変容を来たし、Ras変異細胞のびまん性浸潤を促進することが示唆された。

参加ご希望の方は下記までメールにてご連絡ください。zoom参加の詳細をお送りいたします。

お問い合わせ先:林克彦
hayashik@hgs.med.kyushu-u.ac.jp

〒812-0054 福岡市東区馬出3-1-1
九州大学大学院医学研究院 応用幹細胞医科学講座
ヒトゲノム幹細胞医学分野(総合研究棟4F)
電話:092-642-4844 FAX:092-642-4846