九州大学医学部同窓会
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九州大学医学部同窓会 会長就任挨拶 

会長挨拶

令和元年12月中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、その感染力の強さ、病状の複雑さ、診断の困難さ、そして何よりも初期対応の不備によって瞬く間に全世界に広がり、スペイン風邪以来、100年ぶりの本格的なパンデミックになりました。感染拡大は今なお続いており、先行きは全く不透明です。この異常な医療環境の中で、自らの感染の危険を顧みず、日々の診療に従事されている同窓会会員の皆様に心からの応援を送りたいと存じます。また毎年の様に起こる自然災害に被災された皆様には衷心よりお見舞い申し上げます。

COVID-19が発生する少し前、昭和48年卒業の中村哲先生がアフガニスタンの地で凶弾に倒れ亡くなられました。先生は30年前、らい病患者のためパキスタン・アフガニスタンに入られました。進行して歩けなくなった患者を自ら背負い、診療所に運ぶといった献身的な医療を続けられますが、現地で亡くなる多くの人が、水や食糧不足による栄養失調によるものであると気づかれるのです。地球温暖化による気候変動が旱魃を引き起こし、国土が砂漠化し、それに度重なる内戦が荒廃に拍車をかけたのです。先生は2000年代初めから灌漑工事を始められ、26kmに及ぶ水路網を完成させ、広大な砂漠に生命を蘇らせたのです。この不可能と言われていた水路建設によって65万もの人が飢餓から救われたのです。中村哲先生を追悼する記事は医学誌Lancetをはじめ多くのメディアに掲載されました。先生の医師として、人間としての生き方に多くの人が共感を覚え感動するのです。先生の足跡を残すため、医学部とペシャワール会と協働して、追悼講演会を開き、九州大学医学歴史館に常設展示ブースを設置する予定です。

九州大学医学部は明治36年(1903)3月、福岡医科大学として創設されました。九州帝国大学医科大学と云う意見もあったようですが、当時の帝国大学令では単科大学は認められず、一先ず京都帝国大学福岡医科大学として開設されたのです。九州帝国大学設立の8年前のことです。同窓会誌「学士鍋」の由来は、明治40年、第一回の卒業式の際、大きな鍋で薩摩汁を作り、暖を取りながら歓談し、その蓋に教授と卒業生が記念の署名をしたのが始まりとされています。今も続く卒業式での名物行事になっています。会員相互の親睦を図るとともに、古い伝統の上に立ち、日々進化する九州大学医学部を支えるのが同窓会の使命であると考えています。

(令和2年10月16日)

           
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