医学部75周年記念庭園
九州大学医学部創立七十五周年記念庭園は旧皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科学教室の木造建築の跡地につくられたもので、広さ6,033㎡を有します。医学部創立七十五周年記念事業の一つとして庭園が計画されるに際し、福岡志免の庭師松間一立氏はその設計施工の任を當り、昭和53年11月に完成をみました。
これは、日本庭園の傳統を基調とし、山形の起伏、大刈込、遊歩道の姿に光琳模様の曲線美を活かし、築山には全九州を渉猟して集めた常緑落葉の樹林に、五ツ木渓谷の青石からなる石崖と渓谷を配して九重、祖母、阿蘇の三山五岳に擬し、九州の風土をここに再現させたものであります。大森通りの起伏の刈込には三十七種の久留米つつじを混植し、外来前の平刈込には長崎くまのの一色を配して、初春から新緑の候にかけて刻々に移る鮮やかな 色彩が人々の目を楽しませます。
築山を繞る石垣の一部には 市地下鉄工事に際して偶々得られた福岡城内堀壕の築城石が充てられ、林間の腰掛には本学部創立の昔、久保猪之吉先生のつくられた耳鼻咽喉科学教室無響室の礎石が用いられ、庭園の西北には巨匠カール・ミレスの不朽の名作「神の手」が聳えています。
ここに学び、働き、医療を受ける多くの人々が、庭園の四季の移りかわりの中に自然の黙示を感知し、安らぎと希望を見出す機縁ともなれば幸いであります。
昭和五十六年一月 九州大学医学部同窓會
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