研究内容

腸内細菌叢と免疫制御、および病原性細菌の研究

我々の研究室では、腸内細菌叢と宿主免疫システムの相互作用、および病原細菌の病原性メカニズムを中心とした研究を進めている。ヒトの腸内には数百種・数十兆個にのぼる細菌が生息しており、これらの常在細菌叢は宿主の免疫系の活性化・維持に不可欠な役割を果たしている。また、経口的に侵入してきた病原細菌はこうした腸内環境の中で様々なメカニズムを駆使し感染を成立させる。これら両面の研究から、細菌と宿主の関係を包括的に理解することを目指している。

1.腸内常在細菌による免疫細胞の誘導

腸内常在細菌は、免疫恒常性の維持に中心的な役割を担う制御性T細胞(Treg)やTh17細胞の分化を誘導することが知られている。そこで、これらの免疫細胞を特異的に誘導する細菌種の単離・同定を行い、そのメカニズムを分子レベルで解明することを目指している。

2.腸内細菌異常(dysbiosis) と疾患との関連

腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)は、炎症性腸疾患・アレルギー・自己免疫疾患・がん・糖尿病・自閉症スペクトラム障害など、多彩な疾患の発症と関連することが明らかになりつつある。そこで、疾患モデル動物やヒト糞便サンプルを用いて、dysbiosis と疾患発症の因果関係を明らかにする研究を進めている。

3.有益な腸内細菌の探索と応用

宿主であるヒトに有益な役割を持つ腸内細菌種を単離・同定し、その定着・作用メカニズムを解析するとともに、将来的な次世代プロバイオティクスや疾患治療への応用を目指している。

4.病原細菌の病原性メカニズムと腸内細菌による制御

サルモネラ・腸管出血性大腸菌などの感染性病原細菌は、毒素産生・宿主細胞への侵入・免疫回避など、多彩な病原性因子を駆使して感染を成立させる。これらの病原性メカニズムを分子・細胞レベルで解析するとともに、腸内細菌叢が病原細菌の定着・増殖・毒素産生をどのように制御するかを明らかにすることを目指している。腸内細菌叢による感染防御機構(colonization resistance)の解明は、抗菌薬に依存しない新たな感染症対策の開発につながると期待される。

倫理関連情報

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