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第36回生命医科学セミナー 冨田雅典博士[開催報告]

2017年02月15日

  この度研究打ち合わせで来福された電力中央研究所の冨田雅典博士に、「低線量率放射線による生物影響の解明に向けて−DNA修復から細胞競合まで−」と題して、平成29年2月9日(木)の夕方、病院地区総合研究棟2階の201セミナー室において講演をしていただきました。放射線被ばくに関して、同じ線量の放射線をより時間をかけて照射した場合、生物影響が低減される線量率効果が知られています。この現象を裏づける分子機構を明らかにすることを目的に行われた様々なDNA2重鎖切断修復遺伝子を欠損した培養細胞を用いた研究を紹介され、低線量率放射線照射下では、非相同末端結合の役割がより重要になることを示されました。また、マウス腸管の組織幹細胞(Lgr5+幹細胞)に着目したオルガノイド形成法による、放射線照射細胞と非照射細胞間での細胞競合の有無を評価する最新の興味深い研究成果についてもご紹介いただきました。低線量率放射線の生物影響に関する研究は、福島第一原発事故後に問題となっている低線量率放射線のヒトへの影響を考える上で、極めて重要な取組みです。

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