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第5回 放射線と健康についての福島国際専門家会議(The 5th International Expert Symposium in Fukushima on Radiation and Health)に参加

2016年10月03日

9月26日(月)・27日(火)の2日間、ザ・セレクトン福島で開催された「第5回 放射線と健康についての福島国際専門家会議:福島における甲状腺課題の解決に向けて〜チェルノブイリ30周年の教訓を福島原発事故5年に生かす〜」[主催:日本財団、共催:福島県立医科大学・長崎大学・笹川記念保健協力財団]に参加しました。
今回久しぶりに福島を訪れましたが、5年半前の福島原発事故後に文部科学省からの要請を受けて一時帰宅に伴う住民の方々に対する「放射線スクリーニング」に従事した時に泊まった同じホテル(当時の名称は、福島ビューホテル)等を見て、JR福島駅周辺の復興を実感しました。

2016_09270020初日は、国内外の専門家15名による講演・発表があり、ベラルーシ、ウクライナやロシアの専門家がチェルノブイリ原発事故の汚染地域での甲状腺がんを巡る調査研究について発表した他、福島県立医科大学の教員からは、これまで福島県が実施してきている県民健康調査における甲状腺検査の状況についての報告がなされました。事故直後から地域住民の方たちに寄り添い、放射線の健康影響に対する不安解消を目指して日々努力しておられる福島県立医科大学の教員・スタッフの方達の活動の一端を知ることができ、頭の下がる思いがしました。会場で配布されていた「放射線災害医療サマーセミナー報告書」の2冊(2014年版、2015年版)を読んで、さらにこの感を強くしました。

また、2日目は、IAEA(国際原子力期間)、ICRP(国際放射線防護委員会)、 UNSCAER(国連科学委員会)、 WHO等の国際機関の専門家6名により、チェルノブイリ原発事故の汚染地域の調査研究を踏まえた形で、福島第一原発事故によって生じた放射能汚染に起因する様々な問題点(甲状腺検査を含む)について、講演・発表がありました。今回、チェルノブイリ原発事故後のウクライナ、ベラルーシ、ロシアの医療関係者による調査結果の詳細が報告され、私達が、直接聴く機会を得たことはとても貴重で素晴らしいことだと思いました。さらに福島県民健康調査(第一次、第二次)での「甲状腺がん増加」に関しては、放射線の影響かどうかと、過剰診断・過剰治療ではないかとの主に2つを中心に議論され、今後の甲状腺検査について考察が深められたと感じました。

10月6日から始まる医学部医学科・生命科学科2年生の後期授業科目「放射線基礎医学」の講義にも「被ばくを巡る話題」のトピックスの際に、今回の会議で報告された内容を反映させたいと考えています。


写真の説明
[文中]
上 :がんばろう福島!! 背景左手に会場のザ・セレクトン福島
下 :ふくしまから はじめよう

[最下部]
左 :会議のディスプレイ
中央:会場の様子
右 :お世話役の山下俊一先生(長崎大学)と一緒に

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