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第30回生命医科学セミナー(Biomedical Science Seminar)

 

演 題:SNV/SNP検出を目的とした次世代シーケンシングとその問題点

演 者:      権藤 洋一博士 独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター

 日 時:平成25年2月4日(月)  17:30~18:30

場 所:病院地区総合研究棟2階204セミナー室 

次世代シーケンサーが広く利用されるようになり、がんゲノミクスやGWASに代表されるように、ヒトにおいてもコーディングエキソン(exome)をターゲット濃縮して、変異や多型を検出し、さまざまな形質から疾患にいたるまで責任遺伝子の探索解析が進んでいる。並行して、そのモデル系開発も進んでおり、理研では、点突然変異を誘発する化学変異原ENUを用いた大規模マウスミュータジェネシスを展開してきた。ENUはゲノム全体に約5000箇所ランダムに点突然変異を誘発していることがわかるとともに、変異を受け継いだ仔マウス約10,000系統を凍結精子としてアーカイブした。この理研変異マウスアーカイブは、どの標的遺伝子にも10〜20の異なった点突然変異系統を提供できる新しい逆遺伝学的リソースとして広く国内外に利用されている。さらに、このリソースを多因子疾患モデルとしても活用できるよう、マウスexome濃縮システムを共同開発し、濃縮したサンプルを次世代シーケンサーで解析することによって、各マウスがもつ全コーディング変異を網羅的に検出し、カタログ化して公開する計画を立てている。実際にのべ49.6Mbのマウスexomeをターゲット濃縮したサンプルから100を越えるENU誘発点突然変異を検出することにすでに成功した。またわれわれはマウス近交系を材料として用いているため、公開されている参照配列や系統間SNPをコントロールデータとして使うことができ、次世代シーケンシングシステムの実際の精度や信頼性を客観的に評価することができ、これまでヒトではわからなかった問題点も明らかになりつつある。

共 催:福岡医学会

問合せ:九州大学大学院 医学研究院 基礎放射線医学分野 續 輝久 (内線6141)

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