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2013.9.13 細胞システムコロキウム「発生における自発的パターン形成」

 2013.9.26 

三浦が和光市の理研BSIで口演しました.

発生における自発的パターン形成
三浦 岳
九州大学大学院医学研究院

 我々の体は複雑な形をしている.この形がどのようなメカニズムによって形成されているのか,発生生物学の分野で様々な知見が蓄積されて来た.特に近年,分子生物学的手法の導入によって,個々の発生現象に関わる分子のリストは完成しつつある.しかし,このような分子の情報の山だけでは,なぜ形が出来るのか,その原理は理解できないという反省から,最近になって数理的手法が発生生物学の中に入ってきつつある.我々はこの流れにさきがけて,種々のパターン形成現象を定式化して理解する試みを行って来た.本講演ではその試みのうち,血管網の形成と細胞の集団運動の研究を紹介する.

1. 血管網の形成のモデル
 循環器系は,発生段階で一番はじめに機能を始める器官系である.我々の体の中には一部の例外を除いてすべての器官に血管が張り巡らされており,酸素や栄養の補給のほかにも様々な機能を担っている.血管は,何もない所から新規に血管網が出来るvasculogenesis, 既存の血管から新たな欠陥が生じるangiogenesis, 血管網のなかで動静脈が分化するremodelingにわけられる.我々はこれらの現象に関して,実験とモデリングを組み合わせてメカニズムの解明を行っているが、その最近の結果について紹介する.

2. 創傷治癒系における細胞の集団運動
 発生段階では,特定の場所で出来た細胞が体の中の様々な場所に動いていって構造を形成する例が良くみられる.この中でも,細胞がお互いの接着を保ったまま運動する現象はCollective cell migrationと呼ばれ,単一の細胞の運動と違って理解されていない事が多い.我々は,この細胞の集団運動のもっとも単純な例であるMDCK細胞の創傷治癒系において粗密波の伝播現象を見いだした.このような現象がどのような場合に生じるのか,細胞間相互作用の定式化によって見いだした例を紹介する.

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