セミナー情報
2013.6.27(木)14:00- 神戸大学 富樫英先生セミナー「感覚組織におけるモザイク様細胞配列形成のメカニズム」
日時:2013年6月27日(木)14:00-15:00
場所:九州大学病院キャンパス 基礎研究A棟二階セミナー室
演者:神戸大学・大学院医学研究科 分子細胞生物 冨樫 英先生
細胞選別とは、複数の細胞タイプから構成されている組織の細胞を解離した後、混合培養すると、集合体の中でそれぞれの細胞が選別され、元の組織構造が再構築される現象である。細胞選別現象が実際の個体の組織形成過程に関与しているかどうか、個体レベルで検証された例は限られている。哺乳類の内耳蝸牛管にある聴覚上皮では、支持細胞によって感覚細胞同士が決して接しないように分離されており、2種類の細胞が市松様に配列している。
最近 私どもは内耳の市松模様様の細胞配列が細胞接着分子ネクチンによって制御されることを見出した。ネクチンはタイプ間でホモフィリックにもヘテロフィリックにも結合できるが、ヘテロフィリック結合がホモフィリック結合より強い。マウス聴覚上皮では、感覚細胞と支持細胞においてそれぞれネクチン-1とネクチン-3が相補的に発現していた。これらのネクチン遺伝子をノックアウトしたマウスでは、正常な市松模様の細胞配列が形成されなかった。すなわち感覚細胞と支持細胞間で発現している異なるネクチンがヘテロフィリックに相互作用することが市松様細胞配列の形成に必須であった。
その後、さらに複雑な細胞配列の分子機構を解明する目的で、マウス嗅上皮の細胞配列に着目し解析を行っている。本セミナーでは、ネクチンとカドヘリンによる細胞選別機構に着目した聴覚上皮と嗅上皮における細胞配列機構について、最近の成果を紹介したい。
参考文献:
1. H. Togashi et al., Science 333, 1144–1147 (2011).
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